CBD販売店代表がコカイン容疑で逮捕…相次ぐ薬物検挙、CBD業界の信用はどうなる?

チラクシーのCBDベイプリキッド

2025年3月28日、大麻由来成分「CBD」を含むクッキーや電子たばこなどを販売する店舗を複数運営していた会社の代表が、コカインを所持していた疑いで逮捕されたとNHKニュースが報じました。(写真は筆者撮影、同社のCBD製品)

逮捕されたのは横浜市在住の24歳の男性で、車内から白い粉末が見つかり、鑑定の結果コカインと判明したとのことです。

本人は容疑を否認していますが、「CBDを扱う企業のトップが違法薬物を所持していた」という事実は、CBD業界にとって大きなイメージダウンとなります。

 

2024年12月12日の改正大麻取締法施行以来、CBDショップを運営する者が相次いで薬物犯罪により検挙されていることで、「CBD≒ドラッグ業界と接点がある」という形で受け取られかねない深刻な状況となっています。

 CBDと麻薬の違い

そもそも、CBD(カンナビジオール)は、大麻草に含まれる成分の一つですが、精神作用の強いTHC(テトラヒドロカンナビノール)とは異なり、依存性や向精神作用がないとされています。

世界保健機関(WHO)でもCBDの安全性は比較的高いと評価されており、健康増進やリラクゼーション目的などで海外を中心に利用が広がっています。

一方、コカインや違法な大麻(高濃度のTHCを含むもの)は強い依存性や危険性があり、日本の法規制下で厳しく禁じられています。つまり、本来CBDと麻薬・違法薬物はまったく別物であり、「大麻由来」というだけで同列に扱うのは誤解を生む原因となります。

CBD業界で逮捕者が出る背景

CBD製品自体は、日本の大麻取締法などの法令に基づき、THCが含まれないレベルに抽出されたもの以外の輸入および流通が認められていません。しかし、実際には違法薬物関連の逮捕事例が散見されています。

しかし、誤解してはならないのがCBDに不備があり摘発されたのではなく、全く別の薬物犯罪で運営者が検挙・逮捕されている点です。

引用元:読売新聞オンライン 

2024年12月にも別のCBD事業者(当時:社長)が逮捕されたばかり。

「海外で製造されたCBD製品にTHCなどの違法成分が混入していた」というものではなく、CBDショップが違法薬物の流通プラットフォームになっていたり、違法な成分規制を回避する形で新しい合成物質を作ったり、運営者が薬物犯罪に手を染めてしまったり、という方向で検挙されている点でしょう。

確かにCBDは「大麻由来」の物質ですが、その言葉からくるイメージで、CBDショップと違法大麻やその他薬物が混同されやすい形で報道される現状があります。

しかし、それを報道機関の無知であると批判することはできないと筆者は考えます。

確かに、足元のCBD業界においては、知識不足のまま取り扱う業者や、違法薬物を常用する個人が参入しやすいというアングラな土壌があることもまた事実で、現にCBD事業者が薬物犯罪で検挙されているからこそCBDに悪いイメージがつくという悪循環に陥っているのだろうと思われます。

業界の体質や課題

CBD業界は近年急成長している一方で、「本当に合法な製品を扱っているのか?」という疑惑の目が絶えません。先の渋谷における大麻グミ事件、今回のコカイン所持疑惑のような事件が起こると、消費者からのイメージ悪化は避けられず、真面目に事業を行う企業にとっては大きな痛手です。

また、業界のモラルやコンプライアンス意識が十分に醸成されていないことも課題として浮き彫りになります。

正しくビジネスを行っているCBD事業者からすれば、違法な薬物との関わりを疑われることは大変不本意です。実際、品質管理や原料の追跡(トレーサビリティ)を徹底している企業が大半ですが、一部の不正業者が目立つ報道がなされることで、「CBD=グレーな領域」という誤解が広がるのは非常に残念な現象です。

今後の業界動向と対策

今回の事件を受け、取り締まりは今後さらに強化されると考えられます。以下のような対策や動きが予想されます。

厳格な成分検査や第三者認証を実施する企業が生き残り、CBDという事業を隠れ蓑にしてグレーゾーンを攻めるような事業者は排除されていくでしょう。

また、業界団体や専門家が連携し、ガイドラインの策定や品質管理システムの構築などを進める可能性があります。

そして、CBDがどのように製造され、麻薬や危険ドラッグとどのように違うのか、消費者が正しい知識を得られるよう、企業や私たちのメディアによる情報提供が重要になルと考えます。

特に、CBD製品を安全に利用するためには、「どの会社がどんな原料を使い、どのようなプロセスで製造しているのか」を確認することが不可欠です。消費者が正規のルートから信頼性の高い製品を選ぶようになれば、市場全体の健全化も促進されるでしょう。

まとめ

CBDとコカインなどの麻薬は、その性質や法的立ち位置がまったく異なるものです。

しかし、業界の急成長や法整備の未成熟、悪質業者の存在などが重なり、今回のような逮捕事例が後を絶たないのが現状です。

事件が報じられるたびに「CBD=危険」というイメージが広まってしまうのは残念ですが、それでも多くの真面目なCBD事業者が安全で品質の高い製品を提供するべく努力しています。

業界全体として、コンプライアンス徹底と透明性の確保を進めることで、CBDが持つ本来の価値とポテンシャルが正しく評価されるようになることを願ってやみません。

この記事の執筆者

執筆者(Author):古田 拓也(Takuya Furuta)

古田 拓也

ASA.tokyo 板橋工場 食品衛生責任者
カンバンクラウド株式会社 代表取締役CEO

中央大学法学部卒業後、2022年にカンバンクラウド株式会社を設立。2024年12月の改正大麻取締法施行と同時に、"Made by Japanese"のCBDブランド「ASA.tokyo」を立ち上げる。本メディアでは、筆者の1級FP技能士(国家資格)としての金融・ビジネス知識と、自社CBD工場での製造管理経験を掛け合わせた独自の視点でCBDビジネスや最新情報などをお届けします。


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