2025年3月25日には、ロート製薬がモニターに対し、自社製品をインスタに投稿させ、広告に引用するという手法でステルスマーケティングを行ったとして消費者庁に処分されています。
日本国内でCBD(カンナビジオール)の市場が急速に拡大する中、マーケティング面での コンプライアンスは避けて通れない課題となっています。 大麻取締法や薬機法、ステマ規制による影響を正しく理解していないと、グレーゾーンに踏み込むリスクが高く、 企業イメージや事業継続に大きなダメージを与えかねません。
本記事では、ASA.tokyoを運営する筆者が、直近のステマ処分例や薬機法を踏まえて、CBDマーケティングを安全かつ効果的に行うための方法論を解説します。
グレーゾーンを回避しつつ売上を伸ばすポイントや “ちょうどいい表現”の見極め方を取り上げます。 「どうやってSNS等で話題化しつつ、規制をクリアするのか?」といった実務のヒントを学んでいきましょう。
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1. CBDマーケティングで守るべき法律と主な注意点
1-1. 大麻取締法・薬機法・利用規約の遵守
日本では、大麻取締法によりTHC(テトラヒドロカンナビノール)が基準値以下でなければ合法とならず、 たとえCBDが含まれていても、微量のTHCが検出されれば違法と判断される可能性があります。
また、薬機法の観点からは、医療効果を断定する広告表現を行うことが厳しく規制されています。 例えば「○○が治る」「△△を改善する」といった表現は違法となる恐れがあるため、「リラックスをサポート」「健やかな暮らしを応援」など柔らかい言い回しが求められます。
最後に、薬機法などの諸法令をクリアしても、広告掲出先の利用規約上「CBDの取り扱いがNG」という規約となっている場合があります。これを一般に禁止商材といいますが、現状では大多数の広告媒体やWEBサービスがCBDについて禁止商材に指定しています。
そのため、法令面のハードルをクリアした後は、露出を狙うサービスや媒体の利用規約を確認し、CBDの取り扱いが禁止されていない分野でマーケティングを行うことが大前提となります。
1-2. THCフリーを証明するCOA(成分分析証明)
CBD製品の正当性を示すには、第三者機関が発行する成分分析証明書(COA)が必須となります。 これにより、THCが基準値以下であることを示し、消費者や取引先の安心を高めることができます。
マーケティングでは、このCOAの存在をアピールすることで、 「違法成分が入っていない=安全性が高い」という印象を打ち出す戦略も有効です。
COAは原料メーカーから開示してもらう必要があります。一般公開して良いかなどはメーカーに確認した上で商品ページに載せるなどして麻薬成分が含まれていないことを証明しましょう。
2. グレーゾーンに踏み込まない広告表現のコツ
2-1. 医療効果を断定しない表現
CBDは海外研究で不安感や睡眠サポートの可能性が示唆されていますが、 日本では医療効果を保証する広告は認められていません。
「○○に効く」ではなく、“毎日のリラックスサポートに”といった形で マイルドな表現にとどめましょう。SNSなどで一般のユーザーが「効果がすごい!」などと書く場合は企業側から制御しづらいですが、 企業公式として断定的な言い回しをするのはリスクがあります。
注意したいのが、インフルエンサーを起用した際のマーケティング方法です。投稿内容については「#PR」など、広告であることを明示する必要があります。
ロート製薬のように、広告としては起用してないが、投稿にお金が発生しており、それをリポストするようなやり方で、「インフルエンサーが"効く"とか"治った"というのは勝手に言っているだけ」という言い訳は通じません。
CBDの効果効能については言及しないように投稿内容にガイドラインを設けたり、投稿されたものを事前・事後的にチェックする体制の整備が不可欠です。
2-2. “副作用がない”はNGワード
「副作用が一切ない」といった断定的な表現も避けるべきです。
CBDについて、アレルギーが出るか否かについてはまだ臨床研究が進んでおらず、実際には体質によってアレルギー反応などが出る可能性がゼロとは言えないため、 “個人差がある”前提を忘れないことが重要です。
また、何らかの身体不調や薬と併用しているユーザーがいるかもしれないので、 そのような方は事前に医師や薬剤師への相談を促す案内を載せるのもコンプライアンス的には有効です。
3. コンプライアンス重視のマーケ戦略:4つの切り口
3-1. SNSバズを狙うなら“ライフスタイル提案”
ここからは具体的にどうやってユーザーに訴求するかを考えていきましょう。
CBDが注目される背景には、リラクゼーションや健康志向などのライフスタイルトレンドがあります。
インスタグラムやTikTokなどで“朝のルーティンにCBDコーヒーを取り入れる”など、 生活シーンの提案で自然に拡散を狙う方法が考えられます。
ここで「××が改善」と医療的効果を断言しないように注意しつつ、 ビジュアル的に訴求するのがポイントです。
3-2. オーガニック・サステナブルを切り口に
大麻取締法をクリアしたヘンプ農場で生産されたCBD原料は、 環境負荷が低いサステナブル素材として強みがあります。
当サイトのASA.tokyoでは、在外日本人農家法人が現地で栽培ライセンスを取得し、大麻原料の栽培等を管理するという観点でMade by Japaneseブランドとして展開しています。
原料にどのような強みがあるのかを把握することは重要です。
また、“ヘンプ栽培は農薬や化学肥料を最小限にできる”“土壌改良に役立つ”といったアピールで、 エシカル消費やSDGsに関心の高い層を取り込むことができるでしょう。
この場合も、「社会貢献」「地球環境に優しい」といった切り口で訴求し、 医療面での直接的効果よりもサステナビリティに焦点を当てるのがコツです。
3-3. 体験イベントやワークショップ
オンラインだけではなく、実際にCBDを味わったり、 体験したりする場を用意するのも効果的です。
例えば、ヨガスタジオやリラクゼーションサロンとコラボし、 “CBDティー付きヨガクラス”や“CBDオイル試飲会”などを開催すれば、 ユーザーが自己責任ではありますが、初めて試す形を作れます。この際も大麻取締法に抵触しない製品であることを明示するのと、 THCフリーの証明をしっかり提示しましょう。
CBDオイルなどの効き目は個人差がありますが大体30~60分ほどで現れてきます。施術やプログラムについては、効果が出るまでのタイムラグを踏まえた長さで組むべきでしょう。
4. グレーゾーンを避けるための内部体制の整備
4-1. 法務・薬事担当者の育成
CBD製品を扱う企業は、法務担当や薬事担当を社内で育成・配置することが重要です。 大麻取締法や薬機法を含む関連法令を定期的にチェックし、 広告文言や商品パッケージの表記などを検証できる体制を作りましょう。
または、上記の体制が整っている事業者にコンサルティングや監査をお願いすることでスピーディにこの部分をクリアすることが可能です。
4-2. 顧客問い合わせ対応のマニュアル化
「どのぐらい飲めばいい?」「病気は治りますか?」といったユーザーからの質問に対して、 適切に答えられるようにFAQや対応マニュアルを整備することが大切です。
誤って「○○に効きます」と言ってしまえば、違法広告と見なされる可能性があります。
“個人差がある”“医師への相談を推奨”といった表現を徹底し、コンプライアンスを守る姿勢を示すと信頼度が高まります。
特に、展示会や実店舗など、アルバイトの教育不足が原因で適当な受け答えをした結果、薬機法違反に問われるなどのリスクがあります。対応のマニュアル化を行い、接客や情報提供にブレが生じないようにしましょう。
5. 今後の展望:法改正や市場拡大への備え
5-1. 海外のトレンドを追う意義
日本国内の法規制は依然として厳格ですが、海外ではCBDの研究や合法化がさらに進んでいる地域もあります。
将来的に日本でも一定の法改正や規制緩和が行われる可能性があるため、ASA.tokyoのCBDブログでも発信している 海外ニュースや企業動向をウォッチしておくと、 早期に新しいマーケティング手法を導入できるかもしれません。
5-2. 差別化と安心感の両立
競合が増えるCBD市場では、新製品やフレーバーのバリエーションで攻めた戦略を打ち出したいところです。 しかし、その際も法令遵守は必須であり、 “安全・安心”という基盤が揺らげば一気にブランドイメージが崩れるリスクがあります。
逆に言えば、堅牢なコンプライアンス体制を持つ企業は長期的にユーザーから信頼を得て、 安定した成長を期待できるのです。
まとめ
CBDマーケティングを“コンプライアンス重視”で進めるためには、大麻取締法・薬機法の理解はもちろん、 SNSやインフルエンサー活用でも医療効果を断定しない細心の注意が求められます。 COA(成分分析証明)を提示してTHCフリーを証明するなど、法令遵守をアピールしつつ、 ユーザーが“ライフスタイルの一部”としてCBDを選べるような表現が理想的です。
過剰なバズや刺激的な広告表現に走ると、すぐにグレーゾーンに踏み込むリスクがありますが、 サステナビリティやリラクゼーションのイメージを丁寧に育むことで、長期的にブランド力を高められます。 “安心感”を最優先しながらも、ユーザーとの接点を増やす戦略を練り、 これからのCBD市場で確固たる地位を築いていきましょう。
参考文献・URL
- 厚生労働省:大麻取締法・薬機法 https://www.mhlw.go.jp/
- FDA(Food and Drug Administration): https://www.fda.gov/